遺留分(その2) - 西川欽一「遺言と相続のお話」

前回、遺言者による財産処分の自由と相続人の相続権保護のバランスをとるための制度として遺留分について紹介させていただきましたが、今回も、この遺留分制度をもう少し紹介させていただきます。

前回紹介したとおり、遺留分は、直系尊属のみが相続人である場合、つまり被相続人(亡くなった人)の父母、祖父母が相続人である場合は被相続人の財産の3分の1が、その他の場合は2分の1が遺留分として保護されます。

 

この遺留分の割合を乗じて遺留分の額を算定する基準となる被相続人の財産とは、相続開始時の被相続人の財産の額に、相続開始前1年内に贈与した財産の額や、遺留分を侵害することを贈与者と受贈者が知ってなされた贈与財産の額、特別受益財産の額を加えて、ここから相続債務の額を引いた額をいいます。数式にすると次のとおりです。

 

(「相続開始時の財産」+「相続開始前1年内に贈与財産」+「遺留分を侵害することを知ってなされた贈与財産」+「特別受益財産」)-「相続債務」

 

この被相続人の財産の額に前述の遺留分の割合を乗じて算出した額に対する各相続人の相続割合が、その相続人の遺留分となり、その相続人の相続する財産の額がこの遺留分の額より少ない場合に、自らの遺留分を侵害しているとして請求することができます。この請求を「遺留分減殺請求」といいます。

 

遺留分減殺請求は、遺留分権者が、自らの遺留分を侵害した贈与や遺贈などを受けた者に対して、遺留分減殺の意思を表示することによって行います。実際には、内容証明郵便などでその旨の通知を行います。

 

自分の遺留分が侵害されているかもしれないと思われる方は、専門家に相談されることをお勧めします。

 

また、遺言書を作成するときは、遺留分減殺請求によって、遺言どおりに財産を遺せないことになる可能性がありますので、遺留分に考慮した遺言書を作成することをお勧めします。

 

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(行政書士 西川欽一)