前回は、遺言の取り消し(撤回)についてご紹介させていただきましたが、今回は遺言の効力について解説させていただきます。
遺言書を発見したときは、公正証書遺言を除いて、遺言の検認という手続をとる必要があることは以前にご説明させていただきましたが、この「検認」という手続は、遺言の有効無効を決定する手続ではありませんので、遺言の効力に直接影響を及ぼす手続ではありません。しかし、この検認手続を経ないで、封印されている遺言を開封した場合などは、過料に処される場合があり、また、遺言に基づく預金の払い戻しや、不動産の名義変更ができない場合があります。
遺言は、これまで紹介させていただいてきたように民法の方式に従って作成されている以上、遺言者の真意を探求して可能な限り適法で有効なものとして解釈するべきであるとされています。
適法で有効に作成された遺言は、遺言者が死亡した時にその効力が発生します。従って、遺言が作成された段階では、遺言は存在しますが、その効力は遺言者が死亡するまでは発生しませんし、遺言者の死亡から年月が経った後に遺言が発見されたような場合でも、遺言者の死亡時に遡って効力が発生します。例外的に、遺言に停止条件をつけたような場合、例えば、「私の経営するX医院の経営を甲野太郎が承継することを条件として、A銀行の定期預金を全て甲野太郎に遺贈する。」という遺言があった場合などは、条件が成就したとき、前例でいうと甲野太郎がX医院の経営を承継したときに効力が生じることになります。
以上のように、遺言者が死亡し、遺言の効力が発生するとその遺言の内容どおりに実現させることができることになります。例えば、「A銀行の預金の全てを妻Xに相続させる。」という遺言があった場合、遺言者の死亡によってA銀行の預金は全てXさんのものになり、A銀行に遺言書(検認済証明書を求められることが多い)や戸籍等を添付して相続の手続をとることができます。不動産であれば、登記所に相続による所有権移転の登記手続きをとることができます。
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