前号まで「自筆証書遺言」の作成方法について紹介してまいりましたが、今回は、遺言書らしきものを発見したときはどうすればよいのかを紹介いたします。
遺言書の表題は「遺言書」となっているとは限りません。表題が「遺言書」となっていないから遺言書として扱われないわけではありませんので、遺言書と思われるものを発見したときは裁判所において「検認」という手続をする必要がある場合があります。この「検認」の手続が必要な遺言書は、次号以降で紹介させていただく予定の「公正証書遺言」以外の遺言書です。従って、これまで紹介させていただいてきた「自筆証書遺言」はこの「検認」が必要となります。
「検認」は、遺言書の保管者または発見者が、相続開始を知った後、遅滞なく、家庭裁判所にその遺言書を提出して請求することとされています。従って、遺言書を発見した人は、速やかに検認の申立手続をする必要があります。この手続を怠ったりすると、5万円以下の過料の制裁があることになっています。
検認の申立は、家庭裁判所に備えてある申立の用紙(裁判所のホームページからダウンロード可)に必要事項を記入の上、申立人、即ちその遺言書の保管者または発見者が記名押印して、これに遺言者の相続関係を証明する戸籍等(除籍等も含む)を添えて家庭裁判所に提出して行います。この時に収入印紙800円分と郵便切手(相続人の数等によって異なる)が必要です。
申立書を提出すると、数週間後に「検認期日」という日が指定されて各相続人に通知されます。この検認期日に遺言書の原本を持参して、遺言書の状態を確認し、開封されていないものは開封して中身を確認します。
但し、この検認手続というものは遺言書の有効無効とは直接的に関係するものではありません。有効か無効かを争う場合は、別途その旨の裁判によることになります。この検認手続を経ないと、遺言書の内容どおり実現させる(これを「遺言執行」といいます)ことができません。 遺言書を発見した場合や、相続関係を証明する戸籍のとり方がわからないのご相談にも、我々リーガルワークスは迅速に対応させていただきますので、お気軽にご相談ください。
(行政書士 西川欽一)