自筆証書遺言(その4) - 西川欽一「遺言と相続のお話」

これまで「自筆証書遺言」は、全文、日付、氏名を全て自書する必要があること、並びに押印の方法についてご紹介させていただきましたが、今回は、完成した遺言を読み返してみると、間違えているところがあったというような場合はどうすればよいのか、つまり、訂正や加除の方法をご紹介いたします。

「自筆証書遺言」は、その全てを自筆で書く必要があるため、例えば、せっかく完成したと思って読み返してみると、遺贈する不動産の町名が一字抜けていたとか番地を間違っていたなどというケースはよくあるのではないかと思います。このような場合、また最初から書き直せればよいのですが、たった一字の事で最初から書き直さなければならないのでしょうか。そのような場合、民法は訂正や加除の方式も定めています。

 

民法は、自筆証書遺言に訂正、加除、変更などをするときは、遺言者がその場所を指示し、これを訂正などした旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その場所に押印しなければ訂正などの効力を認めないとしています。つまり、この方式に従った訂正や加除をしていない場合、訂正や加除前の本文に効力を認めるということになります。また、訂正前の遺言が無効だったのを発見して訂正したが、その訂正が方式に従って行われなかった場合は遺言自体が無効になってしまうこともあります。

 

具体的な訂正や加除の方法は、例えば、京都太郎が書いた遺言のうち「(5)遺言執行者にリーガルワークス株式会社を指定する。」としていたが、実は、「株式会社リーガルワークス」の間違いだったことを発見して訂正する場合、訂正前の「リーガルワークス株式会社」を二重線などで消し、その傍らに「株式会社リーガルワークス」と記入して、その場所に押印します。このときの印は、本人の印であれば、本文の署名押印のときの印でなくてもよいとされていますが、同じ印を押印しておく方がよいでしょう。そして、その上で、欄外などに「前記(5)のうちリーガルワークス株式会社を株式会社リーガルワークスと訂正する。京都太郎」と署名しなくてはなりません。

 

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行政書士 西川欽一