相続人が未成年者の場合 - 西川欽一「遺言と相続のお話」

前号までに、亡くなった人が遺したどのような財産を誰がどのように分割するのかをご紹介させていただいてきましたが、例えば、父親がなくなって開始した相続に関し、相続人がその妻、成人した長男、および未成年者の二男であった場合のように相続人中に未成年者がいる場合の遺産分割協議はどうにすればよいのでしょうか?

 

未成年者とは、一部例外はありますが、原則として「満20歳未満の者」で、未成年者が遺産分割などの法律行為を行うときには法定代理人の同意が必要とされています。法定代理人とは通常では親権者たる未成年者の両親になりますが、この場合、父親が亡くなったのですから母親の単独親権に服します。しかし、この遺産分割協議に関しては、もし、母親が遺産の多くを相続するとの協議をした場合、この未成年者が相続により財産を取得できる割合が少なくなってしまい、未成年者に不利益が生じます。このように母親と未成年者の利益が相反する行為を「利益相反行為」といい、民法はこのような場合、親権者に代わる「特別代理人」の選任を家庭裁判所に請求すべきであると定めています。

 

祖父が亡くなって開始した相続の相続人たる父親がその以前に死亡しており、その子らが代襲相続人となり、その代襲相続人中に複数の未成年者がいて、それらの子のために遺産分割を行う必要がある場合も、一人の子と、他の子は利益が相反することになりますので、その母親は一人の子の親権者として遺産分割協議をすることはできますが、他の子のために同様に「特別代理人」を選任して遺産分割協議を行うことが必要です。

 

また、相続人中に認知症、その他の精神上の障害により事理を弁識することができない、すなわち、行為及びその結果を弁識するに足るだけの精神能力がない状態が通常である者がいる場合や、その精神能力が著しく不十分な者がいる場合などには、家庭裁判所に対して、その程度に応じて「後見開始」または「保佐開始」の審判を申し立てて「後見人」または「保佐人」を選任する必要があります。

 

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行政書士 西川欽一