遺言とは - 西川欽一「遺言と相続のお話」

前回までは遺産分割についてご紹介させていただいてきましたが、今回からは遺産分割などで争いにならないために最も有効であるとされている「遺言」についてご紹介させていただきます。

 

「遺言」について、民法で「遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない」と定められており、従って、民法に定められた方式どおりに作成されたものでなければ、法律上の「遺言」ではないということです。

 

遺言は、遺言を残して亡くなった人(遺言者といいます)の最期の意思表示であるため、その最期の意思を尊重し、偽造変造を防止するために、法律に基づいた方式に従って作成されたものだけを、遺言という法律上の効果をもたらし、その最期の意思を実現させようとする制度です。

 

法律上の要件を具備せず、「遺言」とは言えないが、故人の最期の意思として書き残した書面がある場合もあります。この書面に基づいて遺産を分割したり、祭祀を承継したりすることはできますが、これは、その書面を故人の意思と認めこれを尊重しようと、その相続人全員の協議が整ったときに可能になることで、つまり、その書面に基づいた相続人全員による遺産分割協議ということです。従って、相続人のうち一人でもその書面を故人の最期の意思とは認めず、または、そこに書かれた分割方法等に反対した場合は、その書面は何ら効力を有しないことになります。

 

民法に定められた方式とは、まず、大きく「普通方式」と「特別方式」があります。

 

特別方式とは、遺言者が死亡の危急に迫っている場合や伝染病などで隔離されている場合など、普通方式によることができない場合の特別の方式で、遺言者が普通方式の遺言ができるようになると6ヶ月でその効力が失われます。

 

普通方式の遺言は、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3つの方式があります。ここでは、これら3つの普通方式による遺言について、次号以降詳しくご紹介させていただく予定です。

 

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行政書士 西川欽一