株式会社設立手続の概要紹介
1. 発起人に関する助言
発起人とは「言い出しっぺ」のことです。会社を設立するにあたっては誰が発起人なのかを明らかにしなければなりません。発起人に関しては下記のような点に注意する必要があります。
(注)
株式会社の設立方法には2つあります。1つは株式を引き受けてくれる人を募集して設立する「募集設立」ですが、この方法はあまり用いられません。もう1つは設立時に発行する株式の全部を発起人が引き受ける「発起設立」で、実務上多く使われます。このページの記述は発起設立を前提にします。御了承ください。
- 人数は何人でもよい。1人でも100人でも構わない。
- 法人も発起人になれる。しかし、会社設立の発起行為をなすことがその法人の目的の範囲内に含まれていなければなりません。
- 外国人・外国の会社でも構わない。
- 資本金の額を決めなければならない。
- 各発起人は設立時に発行する株式を1株以上引き受け、金銭の払込み(または財産の給付)を行わなければならない。
つまり「言い出しっぺ」は口だけでなく財産も出さなければなりません。 - 定款を作成し、全員が署名または記名押印しなければならない。ただし代理人が作成する場合は代理人の署名または記名押印で構いません。
- 印鑑証明書が必要になる。
- 発起人は設立時取締役を選任する。
リーガルワークス合同事務所ではこれらを踏まえ、発起人に関する内容について助言し、手続を代行いたします。
2. 商号に関する助言・手続代行
希望する商号で会社を設立できるかどうかは非常に重要な問題です。商号については次のような事項に気を付けなければなりません。
- ローマ字・アラビヤ数字・記号も使える。使える記号は「&」(アンパサンド)、「’」(アポストロフィー)、「,」(コンマ)、「-」(ハイフン)、「.」(ピリオド)、「・」(中点)。
- 同一住所・同一商号でなければ登記は可能。したがって、同一商号で引っかかることは手続的にはほとんどない。
- もっとも、どんな商号であろうと念のため同一商号調査はしたほうがよい。
- 商標や不正競争防止の観点からの商号検討は当然行うべき。
同一商号の調査は以前は登記所(法務局)に行かなければできませんでした。現在は(ほぼ)全国の登記簿の内容をインターネットを経由してオンラインで調べることが可能となっています。当事務所にはその利用環境が整っていますので、非常に短い時間で調査を済ませることができます。
商標等を考慮する場合は、ブランド戦略のような攻めの視点とトラブル予防のような守りの視点の両面から商号を検討するのが望ましいと言えます。下記「ロゴ作成と商標手続」もご覧ください。
3. 出資に関する助言・手続代行
株式会社は出資者が財産を出し合って設立します。株式会社を設立するにあたっては誰がどのような財産を出資するのかを決めなければなりません。
出資者に関しては以下の点に注意する必要があります。
- 発起設立の場合、発起人は出資者として出資しなければならない。出資せず発起人として名前だけを連ねることはできません。
- 出資者は会社設立後の株主となる。つまり、このときに出資比率を決めておかなければなりません。
出資する財産に関しては以下の点に注意する必要があります。
- 設立に際して出資される財産の価額(設立後の資本金の額)はいくらでも構わない。
- 金銭を金融機関に払い込む場合、払込金の保管証明は必要ない。通帳のコピーで足りる。
- 期日までに出資をしない発起人は株主となる権利を失う。
(最低資本金規制の撤廃について)
『会社法施行によって1円でも株式会社が作れるようになった!』という記述を見ることがあります。しかし、資本金1円の会社を作っても実際には意味がありません。資本金1円で新たに商売を始められるわけがないからです。現実に商売を始めようと思えば、当然ながらある程度の軍資金が必要です。
4. 機関設計に関する助言
株主総会や取締役・取締役会・監査役などを会社の「機関」と呼びます。現在の制度では株主一人・取締役一人(=代表取締役)という『一人会社』を設立することが可能です。取締役会を置かないようにすることで非常に身軽な会社を作ることができます。
一方、社会的信頼を重視したいなどの場合は取締役の他に取締役会・監査役・監査役会・会計参与などを設置することができます。
5. 会社の閉鎖性維持に関する助言
株主の分散を防ぐことで会社の閉鎖性を維持することができます。会社の同族性を重視したいなどの場合は重要な検討課題です。
将来の上場を視野に入れていたり資金調達を重視したい場合は、それらと会社の閉鎖性とが二律背反の関係になる恐れがあるので、慎重な検討が必要です。
6. 定款作成に関する助言・作成代理
株式会社を設立するにあたっては必ず定款を作成しなければなりません。定款は会社の憲法とでもいうべきもので、十分検討し慎重に作成する必要があります。
定款には最低限次の事項を記載しなければなりません。
- 目的
- 商号
- 本店所在地
- 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
- 発起人の氏名・住所
- 発行可能株式総数
営業にあたって行政の許認可が必要な場合は、この「目的」に注意する必要があります。所定の事業が目的として明記されていないと許可が下りないことがあるからです。
定款には必要に応じて次の事項を記載します。
- 現物出資に関する事項
- 発起人の報酬
- 設立費用
一般には以下の事項も記載します。
- 事業年度(消費税課税開始時期に影響するので慎重に決めましょう)
- 株式の数・種類
- 株式に対して払い込む金額
- 株式の名義書換手続
- 株主総会に関する事項
- 取締役・監査役の人数
- 社長等の役職
- (取締役会を置く場合)取締役会に関する事項
作成した定款には4万円の収入印紙を貼付しなければなりません。当事務所をご利用いただいた場合は定款をいわゆる電子定款として作成することで収入印紙代4万円を節約することができます。なお、公証人手数料5万円は収入印紙とは別に必要です。
7. 定款の認証に関する手続代理
定款の認証は公証人役場の公証人と連絡を取り合いながら行います。公証人は定款の内容の細かな部分まで点検しますので、場合によってはFAXや訪問等で何度かやりとりしなければならないこともあります。
当事務所では定款認証の嘱託をオンライン申請で行いますので、手間・時間とも大幅に省略することができます。
8. 設立登記に関する手続代理
定款の認証が終わり、発起人全員が出資金を払い込んだら設立の登記を申請します。申請先は法務局にある登記所です。この段階で新たに決めるべき事項は特になく、既に決めた事項を書類にして提出するだけですが、登記所に提出する書類は形式的に厳格でなければならないので注意が必要です。実際の手続代理は当事務所と連携している司法書士が行います。
また、このときに登録免許税15万円が必要になります。
9. 融資に関する手続サポート
日本政策金融公庫(以前の国民生活金融公庫)の融資に関する書類作成をお手伝いいたします。会社設立のあとすぐに融資を申し込むことも可能です。
なお、現実に融資を受けられるかどうかは会社の資本金などが要素になります。ご希望の場合はお早めにご相談ください。