遺産分割協議書
相続人が複数いる場合の必須書類「遺産分割協議書」。不動産の名義変更や銀行預金の引き出しには原則としてこれが必要になります。
遺産分割協議書の形式
遺産分割協議書に決まった書式はありません。縦書きでも横書きでもよく、用紙サイズの決まりもありません。手書きでもワープロ打ちでも結構です。形式的には、全相続人の実印が押されており印鑑証明書が添付されていればOKです。
簡単な遺産分割協議書の例は以下のようになります。
遺産分割協議書
A田B男(本籍:京都市右京区西院××町△△番地)が◯◯年◯月◯日死亡したことに伴う相続につき、共同相続人であるA田C男及びA田D子は次の通り遺産分割協議した。
第1条 A田B男は次の不動産を相続する。
- 所在 京都市右京区梅津××町
- 地番 △△番◯
- 地目 宅地
- 地積 123.45平方メートル
第2条 A田D子は次の不動産を相続する。
- 所在 京都市右京区嵯峨××町△△番◯
- 家屋番号 △△番◯
- 種類 居宅
- 構造 木造瓦葺2階建
- 床面積 123.45平方メートル
- 67.89平方メートル
本協議を証するためこの証書を作り各署名・捺印し、それぞれ、その壱通を保有する。
◯◯年◯月◯日
(住所)京都市右京区西京極××町△△番地
(氏名)A田C男 印
(住所)京都市右京区西京極××町△△番地
(氏名)A田D子 印
土地や建物の表示は登記簿の通りに書かなければなりません。
遺産分割協議書の内容
大事なのは内容です。具体的には相続人と相続財産に漏れがないことです。
相続人に関する内容
相続人に漏れがあると、どうなるでしょうか。遺産分割が済んでしばらくしてから、知られていなかった相続人が自分の相続分を主張するということが起こりえます。そうなると、相続人全員で遺産分割協議をもう一度やりなおさなければなりません。名義変更などの手続も再度行う必要がでてくるなど、非常に面倒なことになります。
実際にそんなことがあるのかとお思いになるかもしれませんが、例えば、「前婚の配偶者との間に子供がいたが、生まれてすぐに養子に出した」などということは、後婚の子供である遺族は知らないことが多いでしょう。また、故人が男性であれば、遺族のまったく知らないところで子供を認知していたということもありえます。
そんなわけで相続人に漏れがあってはなりません。なお、「相続人はこれで全員だ」と相続人同士で自己申告しても、登記所や金融機関は受け付けてくれません。客観的にそれを証明する公的書類を用意する必要があります。それが戸籍です。相続手続に戸籍調査は必須の作業なのです。
相続財産に関する内容
相続財産に漏れがあると、相続人の場合ほど深刻ではありませんが、やはり面倒なことになります。後になって発覚した財産が少額のものであれば、あまり問題にならないかもしれませんが、不動産など高額なものである場合は、遺産分割協議をもう一度やりなおすことになるでしょう。当然、相続人全員が合意することが必要です。
相続財産は相続人の自己申告に頼ることが多くなりますが、土地や建物など高額なものについては念のため調査するのが望ましいでしょう。