リーガルワークス合同事務所

20

4月

2009

個人情報保護のツボ 〜従業員関連の個人情報にご用心〜 - 関戸幸一「コンプライアンスの部屋」

事業者として保護すべき個人情報とは何でしょうか。誰でも直ちに思いつくのは顧客の個人情報です。しかし顧客の個人情報以外に注意を払うべき個人情報がどの企業にも存在します。従業員関連情報です。

どんな企業にもある従業員関連情報

B2Cの事業を展開している企業にとって顧客の個人情報を適切に保護することは極めて重要です。顧客情報が流出する事故が発生すると企業は著しい損害を被ります。大手インターネット通信事業者大手テレビショッピング企業が顧客の個人情報を流出させ、企業の経営に甚大な影響を受けたことは記憶に新しいところです。

 

一方、B2Cの事業を展開していない企業は個人情報保護に取り組む必要性が少ないかというと、そんなことはありません。どんな事業をしていようと事業者は保護すべき個人情報を必ず保有しています。それが従業員の個人情報であり採用応募者の個人情報です(従業員が一人もおらず、過去に採用活動を一度も行ったことがないという超零細企業はもちろん除きます)。

 

正社員をはじめとして、派遣社員・契約社員・非常勤社員・出向社員・パート・アルバイトなど、呼び方はどうであれ彼らの個人情報は保護すべき対象です。役員の個人情報も同じです。退職者や採用応募の不採用者など在籍していない者の個人情報も、保有しているのであれば適切に管理しなければなりません。

従業員関連情報に気をつけるべき2つの理由

これら従業員関連情報について特に注意が必要な事項を2点紹介します。

 

一つには健康診断結果など保健医療に関する情報についてです。採用時や入社時に健康診断書を提出させているいる場合、事業者は保健医療に関する情報を保有していることになります。また、従業員の福利厚生として健康診断を実施または斡旋している事業者もあるでしょう。そしてその結果を部分的にせよ何らかの形で持っていることがあるかもしれません。

 

このような保健医療情報には病歴などが含まれうるため特に注意して管理する必要があります。うっかり紛失したり流出させてしまったりなどということは許されません。万一企業がそのような事故を起こしてしまったら、企業活動自体が「ゲームオーバー」ということになりかねません。

 

二つには、退職者や採用応募の不採用者、さらには何らかの理由で会社を去った元役員など、現在は在籍しない人の情報についてです。なぜこれらの情報に注意が必要なのか。これらの人は当該事業者に対して不平や不満、ときには合理的理由のない恨みを持っている可能性があるからです。「○年前の面接時に提出した履歴書を帰してくれ」とか「自分の個人情報をすべて開示したうえで削除してくれ」などと言われたときに、慌てず適切に対処できるようにしておくのが望ましいといえます。より本質的には、不要な個人情報は保持しないということも大切です。

 

行政書士 関戸幸一