月
17
11月
2008
適正な広告表示(5) - 関戸幸一「コンプライアンスの部屋」
製品やサービスの広告に表示されている情報の中で最も重要なのは何といっても価格です。広告を見る人は多くの場合、まず価格に注目します。製品やサービスの詳細な内容はさておき、「それはいくらなのか」を最初に見るのです。したがって、広告を出す側が価格アピールを最も重視するのは当然の成り行きといえます。お買い得であり買わないと損であることをあの手この手でアピールするわけです。ここに「二重価格表示」という表示方法が用いられる理由があります。
二重価格表示
公正取引委員会では二重価格表示についてもガイドラインを定めています。基本的な規定を要約すると次のようになります。
- 二重価格表示とは、事業者が自己の販売価格に当該販売価格よりも高い他の価格を併記して表示するものをいう。
- 二重価格表示は、その内容が適正な場合には、一般消費者の適正な商品選択と事業者間の価格競争の促進に資する面がある。
- しかし、販売価格の安さを強調するために用いられた比較対照価格の内容について適正な表示が行われていない場合には、一般消費者に販売価格が安いとの誤認を与え、不当表示に該当するおそれがある。
二重価格表示が不当表示と見なされるのは、同一でない商品の価格を比較対照価格に用いて表示を行ったり、比較対照価格に用いる価格について実際と異なる表示や曖昧な表示を行ったりした場合です。代表的な類型は次のようなものです。
二重価格表示の例
過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示
通常価格と対比してセール価格を表示する場合などです。この場合の通常価格は実際の通常価格でなければなりません。具体的には販売期間の過半をその価格で販売していることが目安とされます。
将来の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示
「新発売特価○○円。○月○日より通常価格○○円」などという表示の場合です。この種の二重価格表示については、需給状況等にかかわらず表示価格で販売する予定である場合など、将来の価格として表示された価格で販売することが確かな場合は問題ありませんが、それ以外の場合において将来の販売価格を用いた二重価格表示を行うことは適切でないとされます。
希望小売価格の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示
製造業者等によって設定されていない価格を希望小売価格として表示すると不当表示に該当する恐れがあるのは勿論です。また、参考小売価格や参考上代などをあたかも希望小売価格であるかのように表示する場合も不当表示に該当する恐れがあります。
競争事業者の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示
特定のライバル店と比較する場合だけでなく市価と比較する場合にも注意が必要です。「市価○○円のものを当店では○○円」などという広告は、その「市価○○円」の時期や地域によっては不当表示に該当する恐れがあります。
これら以外にも割引制度を導入している場合の表示や安さを強調する表示には気をつけるのが望ましいといえます。例えば「他店よりも」「大幅に」「他店チラシ掲載価格より」「倒産処分品」といった表示も、場合によっては不当表示に当たることがあります。
リーガルワークス合同事務所