リーガルワークス合同事務所

20

10月

2008

適正な広告表示(4) - 関戸幸一「コンプライアンスの部屋」

前回から「有利誤認」と呼ばれる不当表示についてお話ししています。法律で禁止されている有利誤認表示とは何か、あらためて(多少噛み砕いて)紹介します。

有利誤認表示の具体例

価格などの取引条件について、実際よりも、あるいは競争事業者のものよりも著しく有利であると一般消費者に誤認されるものであって、不当に顧客を誘引し公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示

 

具体例として公正取引委員会は次のような事例を挙げています。

 

  • 外貨預金の受取利息が手数料抜きで表示されていたが、実質的な受取額は表示の1/3以下になってしまう。
  • 基本価格が記載されずに「今なら半額!」と表示されていたが、実は50%割引とは認められない料金で仕事を請け負っていた。
  • 当選者の100人だけが割安料金で契約できる旨表示されていたが、実際には応募者全員を当選とし、全員に同じ料金で契約させていた。
  • 「他社商品の2倍の内容量です」と表示されていたが、実際には他社と同程度の内容量にすぎなかった。

 

いずれの例も広告宣伝のテクニックと微妙に関連します。問題になりやすいのは条件付販売や二重価格・比較広告などです。世の中の広告を注意してみると、有利誤認表示に該当するのではないかと思われるものは少なくありません。通報制度もありますので、問題のある広告にならないよう十分に注意する必要があります。

有利誤認に関する最近の事例

公正取引委員会の活動が非常に活発になってきていることは当連載でも繰り返し触れています。そのおかげで(?)、問題になった現実の事例には事欠きません。最近も有利誤認の事例がありましたので、ここに紹介します。

 

公正取引委員会から警告を受けたのは携帯通信事業者であるイー・モバイルです。同社は、電車中吊り広告やテレビコマーシャルで、携帯電話定額サービスについて、相手の利用する携帯電話会社に制限なく月額980円のみで通話できるかのように広告していました。しかし実際は、定額料金のみで通話できるのはイー・モバイル同士の通話の場合のみであり、また、定額サービスを利用するにはデータ通信サービス契約が必要で、最低でも月額1980円の利用料がかかるものでした。

 

この事例で特徴的なのは、広告の文字の大きさが問題とされた点にあります。別途データ通信利用料が必要なことや、イー・モバイル以外の相手に発信する場合には別途通話料がかかることは、実は広告の中で表示されていました。しかし、これらの表示は広告全体の大きさと比べて非常に小さい文字で記載されていました。この文字の小ささが「一般消費者に誤認されるもの」であり「不当に顧客を誘引」するものであると判断されたのです。

 

「どこに落とし穴があるかわからない」と感じられる事業者の方がいらっしゃるかもしれませんし、「そんなことをいちいち気にしていたら商売ができない」と思われる方もあるでしょう。しかし、公正取引委員会から警告や排除命令を受けたとなると、信用やイメージに多大な損失を被ります。何をどこまで注意したらよいのかわからないというときは、遠慮なく当事務所へご相談ください。

 

行政書士 関戸幸一