月
15
9月
2008
適正な広告表示(3) - 関戸幸一「コンプライアンスの部屋」
適正な広告表示に関連して「優良誤認」と呼ばれる不当表示についてお話ししてきました。優良誤認の話の最後に、最近行われた公正取引委員会の警告を紹介します。
最近の取り締まりの傾向
手延べそうめんと手延べうどんを販売する業者4社に対し、今年の8月5日、優良誤認規定違反のおそれありとして警告が発せられました。インターネット上のウェブサイトやパンフレット等において、名水百選の一つである「湯船の水」を原材料に使用しているかのように表示されていたにもかかわらず、実際にはそのような水は使われていなかったというものです。
ここで注目されるのは、警告を受けているのが必ずしも大企業ばかりというわけではないことです。特に4業者のうちの一つは個人事業主です。
これまで、中小企業や個人事業主にとって公正取引委員会はあまり身近な役所ではありませんでした。独占禁止法や景品表示法の関連でニュースになるのは大抵大企業でした。しかし近年、公正取引委員会の活動が全般的に活発化するのに従って、対象事業者の規模を問わず取り締まりが強化されているようです。少し前の感覚では、公正取引委員会が個人事業主に対して警告を発するというのは考えにくかったことです。
この傾向は今後も基本的に続くことが予想されます。特に消費者の利益を不当に損なうような違反行為に対しては厳しい取締りがなされることでしょう。
「有利誤認表示」とは
今回は不当表示の二つ目の類型である有利誤認表示についてお話しいたします。有利誤認表示とは次のような表示をいいます。
商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と競争関係にある他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるため、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示
優良誤認表示とよく似ていますが、優良誤認表示が商品やサービスの内容自体(品質や規格など)を問題にするのに対し、有利誤認表示は商品やサービスの取引条件(価格など)を問題にする点が異なります。実際上、規制の中心は価格表示ということになるでしょう。
価格表示に関して記憶に新しいのは消費税込みの表示(いわゆる総額表示)の問題です。それまで「298円」と表示していた商品を税込みの「312円」と表示しなければならなくなったため、同じ商品・同じ値付けにもかかわらず売り上げが大きく減少したという小売業者が続出しました。単なる価格表示だけの問題ではなく(それだけでも販売業者にとっては重要な問題ですが)、価格戦略の問題にまでなったということです。法改正や行政の情報を収集し、経営問題となる 事項を早めに察知することが求められているといえます。
リーガルワークス合同事務所