月
16
6月
2008
思わぬところに潜む落とし穴 - 関戸幸一「コンプライアンスの部屋」
2008年5月16日に次のような報道がありました。
思わぬところに潜む落とし穴
英ブランド手帳、中国製なのに英国旗
不当表示で処分へ システム手帳の草分け的存在で、英国ブランドの「ファイロファックス」の商品が国内の文具店で販売される際に、見本商品に実際の原産国とは異なる英国旗を表示しているのは消費者に誤解を与えるとして、公正取引委員会が景品表示法違反(原産国の不当表示)の疑いで調査していることがわかった。公取委は近く、同法違反での排除命令も視野に、輸入代理店に行政処分を出す方針。
(asahi.com 2008年05月16日の記事より)
ファイロファックスといえばシステム手帳の一流ブランドです。システム手帳の代名詞といっても言い過ぎではありません。私も若い頃、河原町の丸善で掲示品を手に取り、思わずレジへ持っていきかけましたが、財布の中身を思い出して購入を断念したことがあります。そのファイロファックスの何が問題とされたのでしょうか。「景品表示法違反(原産国の不当表示)」とありますが、排除命令とは穏やかではありません。
ファイロファックスはイギリスのブランドです。1921年に生まれ、80年以上の伝統を持ちます。当初は本国で製造していたのでしょうが、現在では中国で生産されています。従って厳密にいうと原産国は中国です。ところが店頭の見本品はブランド名のロゴとイギリス国旗が印字されたプレートを取り付けて陳列されていたとのことで、この展示方法が「消費者に誤解を与える」とされたのです。
一通りのレクチャーを
商品の原産国表示については景品表示法とその告示に規定があり、国名や地名、事業者やデザイナー、文字の言語などに規制がかけられています。さらに食料品や衣料品などの品目によってはより細かな規定があります。景品表示法では原産国表示以外にも優良誤認表示や有利誤認表示、二重価格表示や比較広告、インターネット上の広告表示やおとり表示などが定められており、違反行為を行った場合は公正取引委員会から排除命令や警告・注意が発せられます。
事業者が注意しなければならない事項は不当表示に限りません。景品表示法には不当景品類に関する規定もあります。また、公正取引委員会が管轄する法令は景品表示法だけではなく、独占禁止法や下請法もあります。さらに、守るべき規則は対消費者の取引に限定されるわけではなく企業間取引においても存在します。近年重要度が増している情報管理や反社会的勢力の問題もあります。
これらの「コンプライアンス事項」について事業者が自分で情報を仕入れ対策を講じるのは至難の業であり、その結果、守るべきルールが守られていない事例が多数存在することになっているのではないでしょうか。何らかの方法で一通りのレクチャーを受け、どのような分野でどのようなルールがあるのかを知っておくことが必要であると思います。
この連載では事業者にとって必要なコンプライアンス知識を紹介します。消費者や取引先に対する信頼度向上にご活用ください。紙幅の関係で詳しく触れられないような個別具体的事例については、遠慮なく当事務所までお問い合わせください。
リーガルワークス合同事務所